お役立ちコラム.

2026/07/31
家の解体費用はいくらかかる?空き家を放置するリスクや活用できる補助金も解説

「家屋の解体費用がどれくらいかかるか気がかりだ」

このように悩んでいる方は少なくないでしょう。特に相続した空き家を抱えている方にとっては、切実な問題です。費用の見当がつかず、漠然と不安を感じながらズルズルと先延ばしにしているケースもあるのではないでしょうか。

この記事では、家屋の解体費用の目安や内訳、費用が高くなる理由について分かりやすく説明しています。また空き家のまま放置した場合のリスクや、自治体が行なっている補助金・助成金を活用して費用負担を下げる方法についても紹介しているので、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

家屋の解体費用の目安とは?

解体費用の目安を立てるには、1坪(約3.3㎡)あたりの解体費用である「坪単価」が参考になります。解体工事は取り壊す建物の構造が頑丈であるほど手間がかかるので、費用も高くなるのが一般的です。そのため坪単価の相場も建物の構造ごとに異なります。

概算の解体費用は次の計算式で求められます。

解体費用(本体分)= 坪単価 × 延床面積

なお延床面積とは、建物にあるすべての階の床面積を合計した総面積のことです。延床面積は登記事項証明書(登記簿謄本)や建築時の図面一式(建築確認済証など)で確認できます。

下記の表で、建物の構造ごとの坪単価の相場と、規模ごとの解体費用の目安をまとめてあるので参考にしてください。

構造坪単価の相場30坪50坪100坪
木造4〜5万円/坪120〜150万円200〜250万円400〜500万円
鉄骨造5〜7万円/坪150〜210万円250〜350万円500〜700万円
RC造(鉄筋コンクリート造)6〜9万円/坪180〜270万円300〜450万円600〜900万円

(注記)建物構造、周辺環境による変動の可能性あり。

ただし上表の費用は、あくまでも家屋本体のみを解体した場合の目安に過ぎません。家屋以外のブロック塀や車庫など付帯物の撤去費用、アスベストが使われていた場合の除去費用、残置物の処理費用などは含まれていないので注意しましょう。

解体費用の主な内訳とは?

解体工事にかかる主な費用と全体に占める割合、内容は下表の通りです。ただし見積書に記載されている項目は解体業者によって異なる場合があります。また総額に占める割合も諸条件によって大きく変動するので、あくまでも参考に留めておいてください。

費用の項目総額に占める割合の目安内容
解体作業費3〜4割家屋本体を取り壊す作業の費用。内装材・建具、屋根材、構造材、基礎部分の撤去までを含む。
廃材運搬・処分費3〜4割家屋本体解体で発生した木材やコンクリート塊、壁材など廃材の運搬・処分にかかる費用。
仮設工事費1割高所作業を安全に行うための足場やホコリの飛散を防ぐ養生シート、防音シートなどの設置と撤去にかかる費用
付帯工事費数量によるブロック塀や物置、車庫、庭木など家屋本体以外の付帯物の撤去費用。付帯物の内容や量によって大きく変動する。
整地工事費0.5割家屋本体や付帯物を解体撤去した後に、敷地のゴミなどを取り除き重機で凸凹を平らにならすなど、次の利用のための土地を整えるための費用。
その他費用1割重機回送費 書類作成費 アスベスト使用事前調査費 官公庁への届出費用(建設リサイクル法、道路使用など) 近隣対策
など

※総額に占める割合は一般的な目安であり、物件の状況により変動します

解体費用が高くなるケースとは?

構造や延床面積が同じ家であっても、解体費用が同程度となるとは限りません。解体工事にかかる金額は、様々な要因によって変動します。解体費用が高くなる主なケースは、以下の8つです。

  1. 1.老朽化している
  2. 2.立地・道路状況が悪い
  3. 3.解体がやりにくい設計である
  4. 4.付帯物が多い
  5. 5.地中埋設物がある
  6. 6.アスベスト建材が使われている
  7. 7.残置物がある
  8. 8.繁忙期に工事を行う

順番に見ていきましょう。

ケース1:老朽化している

築年数が古く老朽化が進んだ建物は、解体費用が高くなりやすい傾向にあります。柱や梁、屋根、床などの劣化により建物の強度が低下していることが多く、重機で一気に取り壊そうとすると、予期せぬ倒壊事故を招く危険があるためです。

そのため、人の手で少しずつ取り壊す「手壊し解体」の割合を増やすなど、慎重な作業が求められ、重機による解体に比べて人手も時間もかかります。すべてを手壊し解体で行う場合、重機を使った通常の解体と比較して費用が2〜3倍に膨らむことも珍しくありません。長期間放置され、劣化が著しい空き家では、特に注意が必要です。

ケース2:立地・道路状況が悪い

解体費用は、建物の立地や前面道路の状況によっても大きく変わります。前面道路の幅が4m未満の場合や、敷地いっぱいに建物が建っている場合、旗竿地、階段の上に建物があるケースなどでは、大型の重機や車両がスムーズに出入りできません。そのため手壊し解体や小型重機での作業、廃材の運び出しに手間がかかり、費用が高くなりやすいのです。

また、隣家との距離が近い場合(1m未満が目安)は足場の設置が難しくなるうえ、解体作業も慎重に進めなくてはならず、コストアップにつながります。

周辺の交通量も見逃せないポイントです。歩行者や車の通行が多い立地では、交通誘導員の配置費用も加算されます。

こうした条件に当てはまる場合は、想定よりも予算を多めに見積もっておくと安心です。

ケース3:解体がやりにくい設計である

建物の構造や設計によっても、解体費用は変わってきます。頑丈な造りや複雑な設計の家は、解体に手間がかかるため費用が高くなりやすい傾向にあります。

例えば同じ延床面積であっても、平屋は2階建てに比べて屋根や基礎の面積が広くなる分、作業量が増えて費用が割高になりがちです。凸凹の多い外観や増改築を繰り返した建物、地下室がある家(作業のしづらさに加え埋め戻し工事も必要)も注意が必要です。

また基礎の種類も費用を左右します。土台部分のみの「布基礎」に比べ、底面全体がコンクリートで覆われ鉄筋量も多い「ベタ基礎」は撤去に時間がかかるため、割高になる傾向があります。

ケース4:付帯物が多い

解体工事では、家屋本体だけでなく、ブロック塀やカーポート、物置など敷地内にあるものはすべて撤去するのが一般的です。そのため付帯物の量が多いほど、解体費用は膨らみやすくなります。

主な付帯物の撤去費用の目安は以下の通りです(税別、廃材処分費込み)。

  • ・ブロック塀:8,000円〜/m
  • ・フェンス:2,000円〜/m
  • ・門扉:1.5万円〜/ヶ所
  • ・物置:3.3万円〜/小型1棟
  • ・カーポート・車庫:4万円〜/台分
  • ・庭石:5万円〜/㎥
  • ・植木:2.5万円〜/本

実際の費用は、付帯物の大きさや撤去のしやすさによっても変動するため、解体業者に現地・現物を確認してもらうことが大切です。

ケース5:地中埋設物がある

解体費用を見積もる上で特に読みにくいのが、敷地内に埋まっている地中埋設物(地中障害物)です。地面の下に隠れているため現地調査では発見しづらいです。工事を始めて、地面を掘り返してからはじめて見つかるケースが少なくありません。以前建っていた建物の基礎や杭、浄化槽、古井戸、過去の工事で埋められた建設廃材などが代表例です。

こうした地中埋設物を撤去せずに土地を売却すると、買主から「契約不適合責任」を問われるリスクもあるため注意が必要です。種類や量によっては、撤去に10万円以上の追加費用が発生することもあるので、見つかった場合の対応方針や費用の目安を事前に解体業者に確認しておきましょう。

ケース6:アスベスト建材が使われている

アスベスト(石綿)の使用有無も、解体費用を左右する重要なポイントです。アスベストはかつて耐火性・断熱性に優れた建材として広く使われており、特に1970〜1990年代に建てられた住宅で使用されているケースが多く見られます。健康リスクが指摘されたことから2006年には全面使用禁止となりましたが、それ以前の建物では注意が必要です。

現在、解体工事ではアスベストの事前調査が法律で義務付けられており、使用が確認されると除去工事が必須となります。一般的な戸建住宅であれば、飛散性の高い吹付アスベストが使われているケースは少ないものの、養生や保護具の使用など特殊な作業が求められます。

除去工事の単価は1㎡あたり10,000円〜85,000円程度(処理面積や飛散レベルにより変動)が目安で、一般的な木造住宅では数十万円の追加費用が発生する可能性があるため注意が必要です。

参照元:厚生労働省|アスベスト(石綿)に関するQ&A

ケース7:残置物がある

残置物とは、取り壊す家屋や敷地内に残された家具や家電、衣類、食器などの不用物を指します。解体工事で発生する廃材と異なり、残置物の処理は建物所有者の責任で解体前に行うべきとされています。

残置物の処理を解体業者にまとめて任せると、廃棄物処理費に加え分別や運び出しの手間も経費として上乗せされるため割高になりがちです。量によっては十万円単位で総費用が増えることも珍しくありません。

費用を抑えるには、できる限り自分で処理しておくのがおすすめです。小さなものは自治体のゴミ・資源回収、大きなものは粗大ゴミ回収や処理施設への持ち込みを利用しましょう。なおエアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の家電4品目は自治体回収の対象外で、家電リサイクル法のルールに沿って処理する必要があります。

参照元:

環境省|建築物の解体時等における残置物の取扱いについて(通知)

経済産業省|家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)

ケース8:繁忙期に工事を行う

工事を依頼する時期によっても、解体費用は変動します。特に業者の繁忙期にあたる2〜3月の年度末は、自治体の予算消化に伴って公共工事が集中して人件費などが高騰しやすく、業者側も値下げせずに受注できるため、価格交渉に応じてもらいにくくなります。

また、梅雨や台風シーズン、積雪期といった悪天候が続きやすい時期も注意が必要です。工事の中断で工期が延び、その分のコストが見積もりに反映される可能性があります。

解体費用を抑えたい場合は、こうした繁忙期や悪天候の時期を避け、比較的天候が安定している時期を選んで依頼するのがおすすめです。

相続した空き家を解体せず放置するリスクとは?

「解体費用がかかるから」といって空き家をそのまま放置しておくと、費用面以上に大きなリスクを抱えることになりかねません。倒壊や火災などの事故につながるおそれがあるだけでなく、行政から「特定空家等」に指定されれば、税負担が大幅に増える可能性もあります。ここでは、空き家を放置することで起こり得る主なリスクについて解説します。

予想されるトラブル

空き家は管理が行き届かなくなると、さまざまなトラブルの原因になります。建物の傷みが進めば倒壊や外壁・屋根材の落下といった安全面のリスクが高まり、周辺の住民や通行人に被害を与えかねません。また、放置された空き家は不審者による不法侵入や放火の標的になりやすく、ねずみ・害虫の発生や悪臭、ゴミの不法投棄など、衛生面・防犯面でも近隣に迷惑をかける可能性があります。

参照元:

政府広報オンライン|空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!

国土交通省|空き家を放置するリスク

「特定空家等」への指定

空き家問題の深刻化を受けて2014年に制定された「空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)」により、自治体は適切に管理されていない空き家を「特定空家等」に指定できるようになりました。

特定空家等に指定されると、自治体から所有者に対して「助言・指導」「勧告」「命令」という段階を踏んだ行政指導が行われます。中でも「勧告」を受けると、後述する税制上の優遇措置が受けられなくなります。

さらに命令に従わず改善が見られない場合は、50万円以下の過料が科されます。それでも状況が改善しなければ最終的には自治体による行政代執行として強制的に解体が行われ、その費用を所有者が負担しなければならないケースに発展する場合があるので注意が必要です。

参照元:政府広報オンライン|空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!

空家等対策の推進に関する特別措置法

税金の負担増

2023年の空家法改正により、放置すれば「特定空家等」になりかねない予備軍の空き家も「管理不全空家」として新たに指導などの対象に加わりました。

「特定空家等」だけでなく、この「管理不全空家」についても、指導を受けて改善せず勧告を受けると、住宅用地に適用される固定資産税の軽減措置(住宅用地特例)の対象から外れてしまいます。通常、200㎡以下の小規模住宅用地では固定資産税の課税標準が1/6に軽減されていますが、この特例がなくなると軽減前の税額に戻り、結果的に固定資産税の負担が最大6倍程度に増える可能性があります。「特定空家等」に指定される前の段階でも税負担が増えるリスクがあるため、早めの対応が重要です。

住宅用地特例とは   土地に対する固定資産税が課税される年の1月1日(賦課期日)において、住宅やアパートなど、人が居住するための家屋の敷地として利用されている土地(住宅用地)は、税負担が軽減される。     小規模住宅用地 (200㎡以下の部分) 一般住宅用地 (200㎡を越える部分) 固定資産税の課税標準 1/6に減額 1/3に減額

参照元:国土交通省|空家法とは

補助金・助成金を活用して解体工事の負担を下げるには?

「空き家問題の改善」という国の方針に基づき、各自治体では特定空家や管理不全空家の解体費用を支援する補助金・助成金の制度を設けています。これらの制度を活用すれば、解体費用の負担を大幅に削減できる可能性があります。

補助額は自治体により異なりますが、解体費用の5分の1〜2分の1程度、上限額20万〜100万円程度が支給されるケースが一般的です。

下表は自治体の補助金の例です。

自治体名称補助額備考
多治見市老朽空き家除却工事補助金費用の3分の1(上限20万円)昭和56年(西暦1981年)5月31日までに着工した家屋が対象

※新耐震基準以前
危険空家除却工事補助金費用の3分の1(上限40万円) 
土岐市危険空家等除却支援事業補助金費用の2分の1(50万円) 
恵那市危険空家等解体撤去支援事業(不良空家)費用の2分の1(上限30万円) 
危険空家等解体撤去支援事業(特定空家)費用の2分の1(上限60万円) 
可児市空家等活用促進事業補助金費用の10分の3(上限30万円)昭和56年(西暦1981年)5月31日までに着工した家屋が対象

※新耐震基準以前

※制度内容は年度により変更される場合があるため、必ず自治体窓口や公式ホームページで最新情報をご確認ください。

補助を受けるには様々な書類の提出や現地調査への対応が求められます。また多くの場合は年度ごとの予算に達した時点で受付が終了するので注意しましょう。確実かつスムーズに受給するためには、制度に精通したプロに相談することもひとつの方法です。

参照元:

多治見市|老朽・危険空き家除却工事補助金

土岐市|危険空家等除却支援事業補助金(令和8年度)

恵那市|危険空家解体撤去支援事業

可児市|空家等活用促進事業(リフォーム・解体)補助金

まとめ

家屋の解体費用は構造や規模によりおおよその目安をつけることはできますが、実際の金額は現地の状況によって大きく変わります。老朽化の程度や立地条件、付帯物の有無などによっては、想定よりも大幅に費用が膨らむケースも少なくありません。

一方で、費用が気になるからといって空き家をそのまま放置しておくと、より大きなリスクを抱えることになります。建物の老朽化による倒壊や損壊、火災・不法投棄などのトラブルにつながる可能性があるだけでなく、「特定空家等」に指定されると固定資産税の負担が最大6倍にまで増えることも考えられます。結果的に解体費用よりもはるかに高額な出費を強いられることにもなりかねません。

また、自治体によっては解体費用の補助金や助成金制度を利用できる場合もあります。判断を先送りせずに早めに動くことが大切です。

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